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CHANEL 新素材のパイオニア セラミックへの矜持

シャネルのアーティスティック ディレクターを務めたジャックエリュが、全く新しいメンズウォッチをデザインする際に求めたのは、“輝くようなブラック”だった。それはガブリエルシャネルが見出した、洗練された美しさを内包したブラックということである。

何年もの研究開発を重ね、辿り着いたのが「ハイテクセラミック」だった。二酸化ジルコニウムを主原料とし、高温で溶解してさらにいくつかの素材を混ぜ合わせたものを型に流し込み、形を精製したのちに焼成させることで完成するセラミック素材は、磨き上げることで美しい光沢感が生まれる。

しかも硬度が高いため傷がつきにくく、科学的に安定しているので変質しないという点も、時計のケース素材として理想的だった。シャネルはケースとブレスレットにセラミック素材を使った画期的な時計『J12』を、2000年に発表し、時計界に驚きをもたらした。

それまでのセラミックに対するイメージは、“機能的”や“実用的”といったものだった。ところがシャネルは、超一流のクリエイションというフィルターを通すことで、美しい光沢感を持つラグジュアリー素材という新たな価値を提案してきたのだった。

J12のデザインは、時計デザインの本流であるオーソドックスなスタイルを貫いている。だから万人に愛される。それは誕生から今まで、ほとんど基本デザインが変化していないことが証明している。

しかもセラミック素材がいつまでも美しさを保ってくれる。つまりシャネルは、デザインと素材の両面で“不偏の価値”を提案しているということになる。J12の登場から14年を経た現在でも、彼らが積み上げてきた魅力に陰りはない。

左/ライトウェイトスポーツカーをイメージした「J12 スーパーレッジェーラ」。ツーカウンター式のインダイヤルでレトロな雰囲気を作る。
右/キラキラと輝くアベンチュリンの上に書かれた月を針で指し示すムーンフェイズウォッチ「J12 ファーズ ドゥ リュヌ」。

ホワイトセラミックは、原材料にいくつかの顔料を加えて作る。安定して発色させることは難しいが、シャネルでは2003年に実用化を成功させた。

セラミックは焼成時に約30%収縮する。シャネルは優れた技術を有しているので、細かいパーツであっても製造できるのだ。

シャネルの時計たちは、時計産業の中心地であるラ・ショー・ド・フォンのファクトリーで生まれる。伝統的な時計産業のテクニックと、ハイテク素材の製造技術が融合することで、「J12」は生まれるのだ。

Photo by Hisasi Wadano(時計)

2014年3月『HORLOGERIE』本誌より引用(転載)

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