セダン市場で気を吐く入魂のアッパーミドルクラスがレクサスESだ

ES300hは全長4975ミリ、全幅1865ミリ、全高1445ミリと余裕あるサイズ

これは強力なセダンが出たものだ。レクサスESに乗ったとき、私はまずそう思った。米国において「ES」は、1989年のレクサスブランド誕生のときいらいの”由緒”ある名前だが、日本でレクサスESとして導入されるのは今回が初めてだ。

私は2018年10月の日本発売前に米国で試乗した際に、このクルマの素性のよさにいたく感心した。それで”強力”という表現を使ってしまった。11月に改めて、ES300hとして日本導入されたモデルに乗って、米国での第一印象は間違っていなかったとさとったのである。

レクサスES300hは、レクサスに多少なりとも詳しいひとならご存知のように「h」を車名の最後に持つハイブリッド車だ。2.5リッター4気筒エンジンに、ニッケル水素電池を使った電気モーターが組み合わせてある。

セダンは自動車の基本形だが、そのあらゆる個所をファインチューニングして完成させたのが今回のES300hだ。 乗り心地、ハンドリング、パワートレイン、すべてにわたってエクスパートたちが丁寧な仕事ぶりを発揮している。

たとえば乗り味だ。ボディはレザースクリューウェルディングに加え、今回は接着剤を多く使用している。これにより、走行中に適度なねじれとしなやかさが生まれることに注目しての技術だ。

標準モデルと「version L」のサスペンションにはスウィングバルブショックアブソーバーなる新開発のダンパーが組み込まれている。低速や高速巡航時など、スプリングの動きを制限するダンパーのストロークがきわめて少ないとき、クルマはえてして乗り心地が悪くなる。その際も減衰力をしっかり発揮するのがこのダンパーなのだ。

スウィングバルブショックアブソーバーに組み入れられた部品は一円玉ぐらいの径で厚さはきわめて薄い。実際に車両の走り出しで快適な乗り心地を体験すると、その小さなパーツの大きな働きに驚かされる。べつの言い方をすると、それを採用したレクサスの技術者の慧眼ぶりに感心するのだ。

「F SPORT」と「version L」には前後にパフォーマンスダンパーが備わる。走行中のボディのねじれや微振動を適切に処理し、ハンドリング特性をシャープにする働きを持つ。同時に乗り心地にも貢献するという。

さらに「version L」にはノイズリダクションアルミホイールといい、路面からの振動を吸収してノイズの発生を抑えるのに効果のあるロードホイールが用意されている(先代LSから一部グレードに採用されている)。

とまあ、こんなぐあいなのだ。開発担当者が走り出しのときに感心してもらえるクルマをめざしました、と言っていたが、まさにそのとおりの出来だと私は思う。

ハイブリッドのパワーユニットもまずまずの加速性を持ち、街中でかったるく思う場面はないだろう。高速でも日本ならまず痛痒なく使えるはずだ。

セダンはSUVなどに較べると乗り心地がよく、クーペに較べるとボディの剛性が高い、といったふうにメリットが大きい。そんなセダンのバリューに再注目させてくれるのが、レクサスES300hなのだ。

価格は、標準モデル(580万円)、F SPORT(629万円)、version L(698万円)となる(すべて車両本体価格)。

131kW(178ps)の最高出力と221Nmの最大トルクを持つ2487cc4気筒エンジンに202Nmの電気モーターの組み合わせ

 

荷室には9.5インチのゴルフバッグを4個搭載できるそうだ

 

写真はトパーズブンラウという内装色で、バリエーションは豊富

 

鏡面の代わりにカメラと5インチモニターで後方を確認するデジタルアウターミラーがオプションで用意される

 

 

小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト

慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。読者の方がたの興味に合致しそうな”いいクルマ”の世界を紹介していきたい。

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