The Rock and Flowers

円陣状に巨石が並ぶイギリスのストーンヘンジは、月と太陽に基づく天文的な配置がなされ、夏至や日食が観測できるという説がある。石器時代に作られたという遺跡なので、その解釈は少々非現実的だ。

しかし、エジプトのオベリスクのように、太陽の動きによって変わる影を利用した日時計の役割は果たしたかもしれない。両者に共通するのは岩や石で、数千年経ても形が残る普遍的なものだ。岩の日時計は、今や人類の英知が詰まった機械式時計やデジタル時計へと進化を果たした。

時の流れが詰まった岩や石とともに、季節を感じさせる花に刹那の想いを馳せながら、旬な腕時計をご紹介する。

PATEK PHILIPPE

カラトラバ Ref.6006

マイクロローター式である薄型自動巻きキャリバー240の誕生40周年を記念したカラトラバ。外周にポインターデイトとスモールセコンドを備え、ケースを2ミリ大型化した。キャリバーの構造上の要因で、スモールセコンドが6時位置ではなく、4時位置にレイアウトされたアシンメトリーなデザインが特徴。文字盤はサークルごとに仕上げを変え、時分針も初のスケルトン仕様となって重厚さが増した。自動巻き。18KWGケース。ケース径39㎜。360万7200円。アワーグラス銀座店 問03-5537-7888

PANERAI

ルミノール ドゥエ スリーデイズ オートマティック チタニオ(下)

ルミノール ドゥエはオリジナルのスタイルは残しつつ、現代的な解釈でケースの厚さ10.7mmというルミノールの中では薄いケースに仕上げた新コレクション。そのコレクションからブルーの新色が登場。パネライのDNAであるサンドイッチ文字盤に美しいサンレイ仕上げが施され、スタイリッシュに仕上がっている。ムーブメントはマイクロローター搭載の薄型の自社キャリバーP.4000を搭載。3気圧防水。自動巻き。Tiケース。ケース径45㎜。132万8400円。オフィチーネ パネライ 問0120-18-7110

HUBLOT

ビッグ・バン ウニコ GMT カーボン(上)

ウブロの自社製クロノグラフキャリバーを示す「ウニコ」をモデル名に冠しているが、2時位置と4時位置のプッシュボタンはクロノグラフ用ではない。このモデルはウブロ独自開発のGMTモデルで、矢印のGMT針は2時のプッシュボタンを押すと1時間進み、4時位置のプッシュボタンを押すと1時間戻り、同じダイヤル上で2つのタイムゾーンがわかるようになっている。一番内側のデイ/ナイトディスクとも連動する。自動巻き。カーボンケース。ケース径45㎜。263万5200円。ウブロ 問03-3263-9566

AUDEMARS PIGUET

ロイヤル オーク オフショア・クロノグラフ

誕生から25周年を迎える「ロイヤル オーク オフショア」の復刻モデル。通常は文字盤にメガタペストリーと呼ばれる大きめパターンが施されているが、復刻版では伝統的なキメの細かいプチ・タペストリーが採用されているのが特徴。またローマ数字ではなく、短いバーインデックスなどオリジナルを忠実に再現。文字盤やプッシュボタンはブルーがあしらわれ、爽やかな仕上がりとなった。100m防水。自動巻き。SSケース。ケース径42㎜。313万2000円。オーデマ ピゲ ジャパン 問03-6830-0000

TAG HEUER

タグ・ホイヤー カレラ キャリバー16 クロノグラフ デイデイト(左)

2007年に誕生したキャリバー16を搭載するタキメーター付きクロノグラフ。インデックスは情報が読み取りやすいように分や秒の60進法のレーシング仕様となっており、インダイヤルを強調する白い縁取りもタグ・ホイヤーが得意とするデザインでスタイリッシュ。3時位置には日と曜日を示すデイ・デイト表示を備え、実用性の高さも光る。自動巻き。SSケース。ケース径43㎜。54万5400円。LVMH ウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー 問03-5635-7054

ZENITH

クロノマスター エル・プリメロ オープン(右)

くりぬかれた文字盤から、名機エル・プリメロの心臓部である、高速でダイナミックに動く調速脱進機を見せる“オープン”仕様。一部だけオープンにすることで、文字盤をきちんと見せる実用性と、スケルトンによる仕上げの美しさを追求する芸術性を兼ね備えた1本となっている。ゴールド製のベゼルを採用したコンビモデル仕様で華やかさをプラスする。自動巻き。SS×18KRGケース。ケース径42㎜。130万6800円。LVMH ウォッチ・ジュエリー ジャパン ゼニス 問03-5524-6420

OMEGA

スピードマスター ムーンフェイズ クロノグラフ ブルー サイド オブ ザ ムーン マスター クロノメーター(左)

初のフルブルーセラミックのケースを採用。セラミックにカラーを入れると色が沈みがちだが、均一で鮮やかなブルーに仕上がっている。ムーンフェイズの月はプラチナリキッドメタルによってリアルに再現されている。新時計規格であるマスタークロノメーターを搭載した初のセラミックケースのスピードマスターでもある。100m防水。自動巻き。セラミックケース。ケース径44.25㎜。145万8000円。オメガお客様センター 問03-5952-4400

BREGUET

トラディション 7097(右)

ダイヤルからシンメトリーに配されたムーブメントのパーツで構成されるトラディションコレクションに、レトログラード式の秒表示が加わった。ケースバックには初期の懐中時計をモチーフにしたブレゲの伝統的なデザインにのっとったゴールド製のスイング式の錘を備える。一見すると古典的であるが、ひげゼンマイやアンクルにはシリコン素材といった最新技術が搭載されることで耐久性を向上させている。自動巻き。18KRGケース。ケース径40㎜。382万3200円。ブレゲ 問03-6254-7211

JAEGER-LECOULTRE

ジオフィジック・ユニバーサルタイム(左)

北極側から見た地球を表現し、リューズだけですべての時間帯の操作ができるワールドタイム機構を搭載。海の部分はグラデーションの美しいブルーラッカーで仕上げ、秒針はクオーツ時計のように一秒ごとに動くステップ運針となっている。また独自形状のテンワを備えたジャイロラボと名付けたテンプを採用し、高い精度を実現。高い技術力を誇る同社ならではの見どころの多い1本だ。自動巻き。SSケース。ケース径41.6mm1701000円。ジャガー・ルクルト問0120-79-1833

IWC

ダ・ヴィンチ・オートマティック(右)

ラウンドケースへと回帰したダ・ヴィンチシリーズからのベーシックな3針モデル。新生ダ・ヴィンチの特徴は、手首に合わせて動いてフィット感もアップする可動式のラグと、ダブルフレームのベゼルで、腕に着けたときこそ一番美しく映える時計となっている。ホワイトダイヤルにアラビア数字のアプライドインデックスは華やぎをプラスするアクセントとなる。レザーストラップはサントーニ社製を採用。自動巻き。SSケース。ケース径40㎜。63万7200円。IWC 問0120-05-1868

BELL & ROSS

BR-X1 ホワイトホーク(左)

パイロットウォッチを多く手掛けてきたベル&ロスから、プライベートジェットに着想を得たニューモデルが登場。ケースに使われているチタンの周りにホワイトセラミックをセットすることで洗練されたスタイルに仕上がった。プッシュボタンはレバー式となっており、グリップ感と操作性を高めているのも特徴。センター針と積算計のクロノグラフはレッドでまとめてスタイリッシュ。世界限定250本。自動巻き。Ti×セラミックケース。ケースサイズ45㎜。259万2000円。オールブルー 問03-5977-7759

CUERVO Y SOBRINOS

ヒストリアドール クロノグラフ フレチャッツォ(右)

1950年代のキューバをルーツにもつブランドのヴィンテージモデルからインスピレーションを受けたというケースデザインとノスタルジー感が漂うバーガンディーカラーが印象的。「フレチャッツォ」とはスペイン語で矢を射るという意味で、センターのクロノグラフ秒針の先端には大きな矢印が採用されている。3時位置の分カウンターにはCYSのエンブレムをプリント、ケースバックからもCYSが彫刻されたローターを鑑賞できる。SSケース。ケース径42㎜。56万1600円。ムラキ 問03-3273-0321

ORIS

クロノリス デイト(左)

1970年に誕生したクロノリスの復刻モデル。1970年代は宇宙への関心が高まった時代で、近未来的で流線形のケースデザインが流行した時期であった。それゆえラグと一体化した流線形のケースやマルチカラーのダイヤルデザインが生まれたが、このモデルはそのオリジナルスタイルをそのまま再現している。下のリューズはインナーベゼルの操作用。レザーストラップもヴィンテージ風だ。10気圧防水。自動巻き。SSケース。ケース径39㎜。21万1680円。ユーロパッション 問03-5295-0411

JUNGHANS

マックス・ビル バイ ユンハンス クロノスコープ(右)

バウハウス最後の巨匠と呼ばれるマックス・ビル。ユンハンスのために考案されたオリジナルデザインを元に展開するコレクションは、無駄をそぎ落としたシンプルで飽きのこないスタイルで、大きくラウンドしたドーム型の風防に、ほとんどベゼルのないダイヤルが特徴だ。縦2つ目のクロノグラフや、デイデイトとブランドロゴは対称にレイアウトされ、安定感のあるデザインとなっている。自動巻き。SSケース。ケース径40㎜。30万7800円。ユーロパッション 問03-5295-0411

PhotographsTakeshi Hoshi StylingKATSUYA KUBOKAWA

2018年3月「HORLOGERIE]本誌より引用(転載)

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