CARTIER 100年前の意匠を忠実に継承するタンクの原点モデル

カルティエの「タンク」ほど、基本デザインを守りながら、多彩なモデルに発展し、成功した腕時計は歴史を振り返っても他にない。

第1号モデルである「タンク ルイ カルティエ」のプロトタイプをルイ・カルティエが考案したのは今からちょうど100年前の1917年。ヨーロッパは第一次世界大戦の最中であり、ロシア革命も起きた年。

デザインでは装飾的で曲線的なアール・ヌーボーの時代が終わり、シンプルで幾何学的、直線的なアール・デコの時代に。

そして第一次世界大戦が終わった1919年に「タンク ルイ カルティエ」はついに製品化され、アール・デコを体現したスタイルがセレブリティたちから圧倒的な支持を得た。このモデルを出発点に今日まで続くタンクの「デザインの冒険」が始まった。

1921年には、腕に沿って優雅にカーブする、後の「タンク アメリカン」の原型ともいわれる「タンク サントレ」を、翌1922年には中国の寺院の門にヒントを得たスクエアケースの「タンク シノワ」が登場。

さらに1928年には2つの小窓を文字盤に空けたジャンピングアワーモデル「タンク ア ギシェ」、1932年には二重反転式ケースで文字盤が隠せる「タンク バスキュラント」が発表されている。最近では1996年の「タンク フランセーズ」、完全自社ムーブメントを搭載した2013年の「タンク MC」をご記憶の方も多いだろう。

表紙の「タンク ルイ カルティエ LM」は、1917年にデザインされたプロトタイプのデザインを今に伝えるモデル。その魅力は、100年の年月を経ても微塵も色褪せてはいない。タンク誕生100周年の今、改めてその価値を見直したい、永遠の定番モデルだ。

タンク ルイ カルティエ ウォッチ LM

当初は偽造防止のための意匠だったという、7のローマ数字に「CARTIER」の文字を書き込んだ、カルティエウォッチ伝統のローマ数字インデックス、レイルウェイタイプのミニッツトラックを持つシルバーグレイン仕上げの文字盤。さらにサファイア カボション付きのリューズ、ブルースティール製の剣型針。ケースと一体化したストラップ。タンク コレクションの原点、ルイ・カルティエがデザインし、自らも愛用した伝説の角型ドレスウォッチ「タンク」のオリジナルデザイン、ディテールを忠実に継承する、ドレッシーな2針の原点モデル。フォーマル&ビジネススーツには最高の1本だ。ケース厚6.35mmで着け心地は驚くほど軽快。日常生活防水。手巻き。18KPGケース。アリゲーターストラップ。ケースサイズ29.5×22.0mm。116万6400円。カルティエ カスタマー サービスセンター問0120-301-757

Photographs:Fumito Shibasaki  Text:Yasuhito Shibuya

2017年11月「HORLOGERIE]本誌より引用(転載)

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