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今、技術で差がつくは、トゥールビヨンより “薄型”ケース

建築家ミース・ファン・デル・ローエは、「LESS IS MORE」という言葉を残した。“少ないことはよいことである”という考え方は、時計業界にも通じる。シンプルであるほど誤魔化しは効かず、全てに高いレベルが求められるからだ。それゆえ薄型ウォッチは、技術と美しさの両面で極上の価値を持っているのである。

ここ数年で、比較的手の届きやすい価格の複雑時計が増えてきた。これは優れたベースムーブメントを使い、そこに付加機構を組み込んでいく“モジュール方式”を採用しているから。

精度が高く、トルクも強いムーブメントを使う為、開発はスムーズに進むし、スペックを熟知しているので信頼性も高いというメリットもある。その結果、複雑機構のモジュール化も進み、トゥールビヨンや永久カレンダーさえも、比較的作りやすくなっているのだ。

しかしその一方で、技術を磨かなければ到達できないのが薄型ウォッチだ。どれだけシンプルな構造にしたとしても、脱進機や歯車など100以上のパーツが必要であり、それを場合によっては硬貨サイズに収めてしまうのだから、その技術は驚異的。

薄型ムーブメントを作るためには、設計、パーツ加工、組み立ての全てが最高レベルでなくてはいけないため、実力派マニュファクチュールの象徴となっている。薄型化のための技術は、ブランドによって個性が現れる。

薄型設計に適した手巻き式ムーブメントにこだわるブランドもあれば、実用性を意識してムーブメントのブリッジに回転錘を埋め込むマイクロローター式を取り入れる場合もある。持続時間や精度も妥協せず、さらには薄型の複雑機構を搭載するモデルも増えてきた。

薄型ウォッチは薄さだけを競うのではなく、時計技術の多様性を誇るジャンルなのだ。ではユーザーにとって、薄型ウォッチは何かメリットがあるのだろうか?それは一も二もなく、エレガントな着こなしが完成するということだ。

薄いケースはシャツの袖口に引っかかることがないので、スーツであれ、ジャケパンであれ、はたまたタキシードであっても、時計が邪魔になることはない。時計技術を楽しめ、しかもファッション的なメリットもある薄型ウォッチは、時計にこだわる洒落者ほど注目しているジャンルなのである。

ケース厚 8.2mm

PARMIGIANI FLEURIER
トンダ1950

特徴的なラグを持つドレスウォッチ。マイクロローター式の自社ムーブメントCal.PF702を搭載し、ケース厚は8.2㎜に抑えた。しかも回転錘の素材をタングステンに変更し、ケース素材をステンレススティールにして、手にしやすい価格に。自動巻き、SSケース、ケース径40㎜。108万円。パルミジャーニ・フルリエ・ジャパン問03-5413-5745

ケース厚 7.58mm

JAEGER-LECOULTRE
マスター・ウルトラスリム スモールセコンド

センターローター式ながら厚みを3.98㎜に抑えた自社製ムーブメントCal.896/1を搭載。ケースは薄く、デザインも端正だが、トレンドカラーであるネイビーのダイヤルを取り入れ、ケース径も40㎜と若干大きめなのでモダンな雰囲気を持っている。自動巻き、SSケース、ケース径40㎜。83万1600円。ジャガー・ルクルト問0120-79-1833

2017年6月「HORLOGERIE]本誌より引用(転載)

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