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ビザールギターの魅力

ビザールギターといのはご存知だろうか?
bizzareの意味を調べると「異様な・異常な」とでてくるが、要は「変な形のエレキギター」である。
エレキギターは1930年代に誕生し、1940年代にむけて一般に認知されていったので実質80年強と歴史は決して長くない。
エレキギターの普及とともにFender、Gibson、Gretsch、Rickenbackerなどの有名メーカーが今もなお現行モデルを作っている世界標準となっているような洗練されたモデルのギターを次々誕生させる中、それらはとても高価で庶民に手の届かなかったので1950~70年代にかけて、それらのメーカー以外の人たちが、独自のシェイプ、デザイン重視の見た目、良心的な価格でたくさん作り出した「変なエレキギター」がビザールギターである。

庶民が手を出しやすいリーズナブルな価格なだけに、お世辞にも弾きやすいとも言えないものも多く、粗悪なパーツを使用しているので音が劣悪だったり、無駄に沢山のスイッチが付いていたりで操作性も複雑だったりで、お金に溢れたバブル期などにはゴミ扱いされたこともあるが、当時最先端だった家電や車などを意識したビジュアルがレトロで可愛く、劣悪だと思われたサウンドも一流メーカーのギターからはどうやっても出せない音なのでむしろオンリーワンだということで、現在はビザールギターファンやコレクターが存在するほどのコアな人気を獲得している。

日本のメーカーではTEISCO、GUYATONEなどが有名で、国産ピアノで知名度のツートップであるYAMAHAとKAWAIもビザールを作っている。
また海外のものでは、イギリスVOX社が出しているティアドロップやファントムはビザールの代名詞と言ってもよいだろう。


VOX VOX PHANTOM


ローリングストーンズのBrian Jonesでお馴染みのギター VOX TEARDROP


ビザールギターは安価だった??

ベンチャーズの登場により1960年代後半に日本に訪れたグループ・サウンズブームにより若者が一気にエレキギターを手に取った。
フェンダーの当時の最高級モデルであったジャズマスターの定価が20万円だった当時、TEISCOのSpectrum5などはは3万円台の価格設定で販売していた。


1967 Teisco ET-460


Guyatone LG-140T

ビザールギターは元来リーズナブルであったことにより、当初は若者にとって手軽に買えるエレキギターであるというのが最初の理由だとは思うが、その奇抜なデザインは、学校でエレキ禁止をされてもグループ・サウンズのバンドをやりたい若者にとって、むしろセンセーショナルであり、結果的にグループ・サウンズといえばビザール・ギターというイメージになっていった。
私もTEISCOのSpectrum5の復刻版を所有しているが、独特の高音のシャリシャリ感と良くも悪くもズッシリしない音は他に変えの効かないサウンドである。
写真は「最後のグループ・・サウンズ」として有名なキャプテンズの傷彦氏も使用しており、共演した時に撮影したギターの2ショット。

ギブソンレスポールや、フェンダーのストラトやテレキャスが定番化する中、1958年に発売の前述したフェンダーの最高級ギター・ジャズマスターや1962年発売のジャガーの様に、それまでの定番とは違う変わったシェイプやスイッチの雰囲気に憧れた他メーカーが「もっと変な形にしよう」「もっといっぱいスイッチつけよう」「せっかくスイッチいっぱい付けたのだし色もカラフルにしょう」という考えにいたったのが容易に想像できて愛おしい。


ビザールギターを愛する人たち

ビザールギターのコレクターとして有名なギタリストといえば、ペトロールズの長岡亮介だ。
星野源や椎名林檎のサポートギタリストとしても活躍している。
著者もスタジオで何度も出会ったことがあるが、いつも見たことのない形の古い特殊な専用ケースを持ち歩いておられるし、映像や写真も数多くが「変わったギター」をぶらさげている。

 

新潟の「あぽろん」という楽器店は、カナダのビザールギターの復刻メーカーEastwoodや、VOXギターを復刻するアメリカのPhantom Guitarwoksなど、世界各国のビザール復刻メーカーの代理店でもあり、日本ではここでしか買えない復刻のビザールギターがたくさん並んでいる。

https://ssl.apollonmusic.com/

またビザールギターは冒頭に前述したように当時最先端だったデザインを重視した見た目であるのため、1950〜60年代のモダンな雰囲気にマッチするので、ミッドセンチュリーなテイストのインテリアを好む人たちのディスプレイとしても活躍している。
熊本のレストラン「ONE DROP Dining’studio」はライブが出来るので、私もアマチュア時代からお世話になっているが、店主の花香さんのコレクションした数々のミッドセンチュリーなアイテムとともに沢山のビザールギターが並ぶ店内は、まるで映画の主人公にでもなったような気分になり、私的には日本を代表するオシャレスポットである。
数々の著名なアーティストがライブをしていたり、和モノレコードオンリーのDJイベントなどの、違いの分かる大人向けのイベントなども多く開催されているので、ぜひ行ってみてほしい。

ONE DROP Dining Studio
熊本県熊本市東区沼山津1-1-21
096-331-1106
https://one-drop.org/

簡単にビザールギターのことを紹介してきたが、私も紹介したTEISCOのSpectrum5以外にも、ET-220というギターを所有していた事があるが、あまりに劣悪な音で実用には向かず、いろんなメンテナンスショップに相談しても「これ自身がこういう音なので、どうにもならない」と匙を投げられ、インテリア以外に使い道が無かった過去があるので、「実用性」だけの面から考えると確実に洗礼されたギターの方が使い勝手は良い。しかし、私はビザールが愛おしくてならない。

「他とは違う」ことを掲げて、レスポール、ストラト、テレキャスなどのような定番を目指すもスタンダードになれなかった”刹那”こそが、ビザールギターのなによりの魅力なのだ。

writer : 西崎ゴウシ伝説

writer : 西崎ゴウシ伝説

エンタメジャズバンドCalmera(カルメラ)のリーダーでアジテーター。
楽曲によりボーカル、トランペット、パーカッション、ギター、キーボードなども担当する。
現在、占い師ゲッターズ飯田氏とのコラボレーションツアー「better fortune'n jazz2019」とアルバムリリースツアー「ThanX!!! Worldwide Tour 2019」を同時進行中。
2019年5月29日に11thアルバム「浪花OVER-BLOW」を発売。

<カルメラ official web>
http://www.calmera.jp

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