HUBLOT ポップアートという革命へのオマージュ


女性のファッションに歴史的な革命が起きたのは、20世紀初頭であったとよくいわれる。身体を締めつけるコルセットがすたれた、というのがその主な理由だ。ただ、今ふり返ってみれば、ファッションの大きな転換期は1960年代にもあった。

この時代はヴェトナム戦争、パリ5月革命、ケネディ大統領暗殺、アポロ11号の月面到達など、重大な事象が世界で相次ぐ。何か大きな変化が生まれようとしていたなかで、ストリートから発生したのが、ミニスカートの流行だ。

女性が脚を露出させるなど、西欧的な文化においては原始以来なかった。身体を覆う服が美しいのではなく、人間の身体そのものが美しいという考え方は、まさに感性の大転換だったのである。

一方で芸術の世界では、ポップアートという激震も発生した。第二次世界大戦の戦勝国アメリカでは、経済が著しく成長し、大衆消費社会が形成されていく。そこに登場したアンディ・ウォーホルは、スープ缶やドル札といった世俗的なモチーフをアイコンとして祭り上げたのだ。

この時代は絵の具も一段と進化し、輝くような蛍光色も使えるようになった。ウォーホルはそうした最新の色彩を駆使し、マリリン・モンローやジャクリーン・ケネディなどの肖像も制作する。その強烈な色彩感覚は、やがてパリのクチュール界にさえ影響を及ぼしていくことになる。

まぶしいような色づかいが、かの有名なモンローの肖像を彷彿させる、ウブロの「ビッグ・バン ワンクリック ポップアート」。ブルーやパープル、フューチャーピンク、アメシストといった意外性あふれるミックス&マッチは、ウォーホルの手で極彩色の記号と化したモンローのようにアートを巧みに再解釈したものだ。

それまでになかったまったく新しい芸術として登場したポップアートに、ウブロは再びスポットを当てた。それもまた必然であったのかもしれない。既成概念の壁を壊して変革を起こすポップアートの精神は、ウブロと相通じるのだから。


ビッグ・バン ワンクリック ポップアート スチール パープル

2016年に発表された38mm径のレディスモデル。本作「スチール パープル」の他、ツァボライトをあしらった「キングゴールド アップル」、オレンジサファイアをあしらった「スチール オレンジ」、ピンクサファイアをあしらった「キングゴールド ローズ」といったカラーバリエーションも揃う。自分で簡単に取り外せる「ワンクリック」ストラップによって、ファッションに合わせて気軽にストラップを変えることができる。10気圧防水。自動巻き。ケース径39mm。SSケース、アメシスト、パープルアリゲーター×ブルーラバーストラップ、パープル&ブルーアリゲーター×パープルラバーストラップ、ピンクラバーストラップが付属。167万4000円。ウブロ問03-3263-9566

Photographs : Hisashi Wadano Text : Keiko Homma

2017年3月「HORLOGERIE]本誌より引用(転載)

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