レクサスRC F

「パフォーマンスパッケージ」では、フロントスポイラー、ロッカーフィン、エンジンフード、それにルーフがCFRP製となる

2019年5月に「レクサスRC F」がマイナーチェンジを受けた。RC Fは、5リッターV型8気筒搭載のスポーツクーペだ。雰囲気だけでなく、実際にサーキットを楽しめるモデルとして開発されている。

354kW(481ps)の最高出力と535Nmの最大トルクを持つエンジンに、8段オートマチック変速機の組合せで、後輪駆動と、スポーツモデルとしては”由緒正しい”成り立ちだ。

今回のマイナーチェンジで、パワートレイン、タイヤ、サスペンションなど、多くの点に改良が加えられた。開発のコンセプトはレースからのフィードバック(レース車両の技術を量産車にも反映させる)だそうだ。

実際に、「カーボンエクステリアパッケージ」と「パフォーマンスパッケージ」が設定された。これら2つのモデルは、ボディの空力特性の見直しや、大幅な軽量化をはかり、より走りに特化したキャラクターが光る。

とりわけ、「パフォーマンスパッケージ」は強烈だ。「RC F GT3によるレース参戦のノウハウを応用し(中略)さらなる軽量化や加速性能の向上を実現した、“F”の決定版とも呼べるモデル」とレクサスでは説明する。

従来型より70キロ、RC Fとだけ呼ばれる標準モデルに対しては、50キロの軽量化がはかられている。ブレーキのローターを大型化して操縦性を上げるとともに、車名のとおり、各部に軽量で高剛性の炭素繊維(CFRP)をおごっている。

富士スピードウェイで試乗した際の走りは、たいへん印象的だった。まさに意のままに動く。加速のよさ、コーナーへのターンインの鋭さ、タイトなコーナーでの粘り、減速の確実さ、そしてストレートでの速さと、すべてにわたって、従来型より格段の進歩だ。

フロントスポイラーのコーナーにカナード形状を取り入れてダウンフォースを向上させるという空力的処理も新型の特徴のひとつである。このような丁寧な空力処理が、動きのキレのよさを実現しているのだろう。

ミシュランと共同開発した専用タイヤによる、走りへの貢献度もけっして小さくないだろう。凝りに凝った作りである。クルマとの一体感のある走りを経験すると、ドライビングはスポーツだと強く印象づけられた。

価格は、標準の「RC F」が1021万909円(8パーセントの消費税込み・以下同)、「RC Fカーボンエクステリアパッケージ」が1099万6364円、そして「RC Fパフォーマンスパッケージ」が1404万円となっている。

「パフォーマンスパッケージ」は、エンジンマウント、サスペンションメンバーブッシュ、ステアリングラックブッシュなどの剛性も高められている

 

フルバケットシートが用意される「パフォーマンスパッケージ」のインテリア

 

富士スピードウェイにて(写真は大きなリアウィングを持つ「パフォーマンスパッケージ」)

 

小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト

慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。読者の方がたの興味に合致しそうな”いいクルマ”の世界を紹介していきたい。

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