de GRISOGONO 死を想い、人生を考えるラグジュアリーウォッチ

中世ヨーロッパでは疫病が蔓延し、死がとても身近な存在だった。そこで生まれた人生観が“メメント・モリ”という言葉。直訳すると「死を想え」という意味であり、誰にも平等に訪れる死に対して恐れるのではなく、むしろ逃れられない運命だからこそ、毎日を楽しもう。

そんな意味が込められている。これはヨーロッパにおける重要な考え方であり、スカルモチーフはポジティブな意味で使われることが多い。ジュネーブにて1993年に創業した新進気鋭のジュエラー「ドゥ グリソゴノ」の最新ウォッチ「クレイジー・スカル」にも、“メメント・モリ”の思想が投影されている。

プレシャルメタルによって作られた巨大なスカルには、宝石がびっしりとセッティングされ、しかも両目には2つのクオーツウォッチがはめ込まれている。下あごをずらすと口の中から舌が飛び出すというギミックは、ユーモラスでさえある。

このモデルを考案したのは、ドゥ グリソゴノの創業者兼クリエイティブ・ディレクターのファワズ・グルオジ。世界で初めてブラックダイヤモンドをラグジュアリーなジュエリーに使用したというジュエリー業界きっての異端児にとって、きらびやかに宝石をちりばめたスカルモチーフのデュアルタイムウォッチは、遊び心の象徴である。

5900万円以上という価格帯にも驚かされるが、人生を謳歌し、今を生きる人々であれば、その価値が分かるかもしれない。

「クレイジー・スカル S02 」。18KWG。クォーツ。/ドゥ グリソゴノ

「クレイジー・スカル S03 」。18KWG。クォーツ。/ドゥ グリソゴ


研究開発には1年を費やし、使う宝石は1000を超える。職人技を駆使しても、1点の時計を作るのに250時間を要する。

「クレイジー・スカル」のローンチパーティは、パリで盛大に開催。著名人やモデルなどを招待し、メディアを賑わせた。

ブラックダイヤモンドをあしらった「クレイジー・スカル S03」はブラックロジウムコーティングを施したホワイトゴールドの上に、ダイヤモンドやピンクサファイアをセットし、ストラップはガルーシャ。45カラットものの宝石が、頭から舌まで、鼻から歯の一本に至るまでぎっしり埋め込まれ、輝いている。

2014年11月「HORLOGERIE]本誌より引用(転載)

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