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四国最東端・蒲生田岬で手つかずの絶景を満喫する。

四国で有名な岬は最南端・足摺岬と台風予報で耳にする室戸岬だろう。最東端の蒲生田は私のパソコンでは「がもうだ」と入力しないと変換もされなかった。正しくは「かもだ」と読む。しかし、そんな知名度不足のおかげで、秘境感あふれる絶景を味わうことができる。

椿泊湾沿いの細道をドライブ、近づくにつれて増す秘境感。

岬へは阿南市福井町の国道55号から約16km。椿の集落を過ぎ、椿泊湾沿いのアップダウンを走るころにはすれ違う車もほとんどなく、対向が難しい細い崖路も現れる。桜がまだ少し残っている季節なのに、水田には水が張られ、一部は田植えが終わっていた。山々の植生を見れば亜熱帯のようなシダも見られ、暖かい土地であることがわかる。

実はここに来るのは初めてではない。ちょうど40年前、年末の休みを利用して自転車で四国を半周したとき、思い付きで国道からそれて蒲生田岬を訪れたことがある。当時、岬近くは舗装されていない道で、強風と寒さ、アップダウンに泣かされ、片道1時間と踏んでいたのが大誤算。

往復4時間かかり、冬の早い日没に追われるように心細くペダルを踏んだことを思い出した。

ほぼ手つかずの自然を満喫、強風が最果てを演出する。

相変わらず風は強い。それでも好天に恵まれ、車窓にはこれでもかと言うくらい素晴らしい海の景観が現れる。ゆっくり安全に運転して岬の駐車場へ。誰もいない。土産物屋やレストランもない。まだ新しいと思われる石をくり抜いたモニュメントや阿波の青石で整備された遊歩道が先端の灯台へと続いている。

海岸には大きめのゴロゴロとした石の浜に強い波が砕け、白骨のように不気味な白さを纏った流木が打ち上っている。近くの海岸はアカウミガメの産卵地としても有名だ。

遊歩道の脇にはハマボウフウが自生していて、食べられることを知っている人が切り取っていった形跡があった。葉を一枚口にしてみたが、風味も強いがエグミが強く、途中で吐き出した。

目の前には白い灯台が見えているが、その手前には思わず唾を飲み込むような急階段。途中、休憩も兼ねて何度か後ろを振り返り、眼下の景色も堪能しながら登るのが息も切れずおすすめだ。登りきるといきなりの絶景が広がっている。

正面に浮かぶのは伊島。こちらから見ると海岸線が切り立っているが、約160人が暮らす漁業の島だ。岬から伊島、その延長線上に和歌山の日ノ御埼があり、このラインが法律上の瀬戸内海と太平洋の境界線だという。この日はかすかではあるが和歌山県側のシルエットが見えていた。

荒々しい崖や波濤に日常では感じられないパワーをもらう。

右手にはサスペンスドラマに登場しそうな切り立った崖。荒々しい岩肌と逆光でキラキラ光る海とのコントラストが美しい。

そして木製の柵に寄りかかって真下を眺めれば、少し緑っぽく見える透明度の高い海に波濤が砕けている。東山魁夷が唐招提寺の障壁画に描いた風景を彷彿させる。訪れた時には一歩間違えば岩に激突しそうな岩場で漁船が網を入れていた。

特産の伊勢海老でも狙っているのだろう。しばしその様子をのんびりした気分で眺めていた。

もっと長い時間留まりたい気もしたが、風が強すぎて15分が限界だった。周囲の木々は風のためみんな同じ方向に傾いて生えている。凄まじい自然の力だ。帰りは遊歩道のように整備された道で迂回するように下りる。椿などの原生林だが、その中に入るとピタリと風が止んだ。

蒲生田岬から車で2~3分戻ったところには秘境の雰囲気に不釣り合いな広大な斜面を造成した阿南市営かもだ岬温泉保養施設があり、温泉も楽しめればと思っていたが、何と浴槽からレジオネラ菌が検出されて2020年4月現在では再開未定とのこと。読んでいただいた方が訪問される時には再開されていることを願っている。

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