<自然の色、アートからインスピレーションを得る>

人の感覚が支えるこれからの時代。

私は、ファッションデザイナーとしてヨーロッパに行く機会が多い。その度に文化の成熟に感動さえ覚える。それは、人々の生活のリズムの中にも感じる事ができる。例えば、朝起きて食べるブレックファーストの風習やゆったりと過ごす時間。自然をこよなく愛し陽の光や咲く花、旬の食材を楽しむ食文化などだ。またその成熟された文化の中でひときわ感じる事は、一人一人のアート感覚の高さである。それは、町の果物屋さんや街の市場などにも感じることの出来る。

色鮮やかな陳列や整えられた見せ方などである。これらは、どこから来るのか?とふと思った。それは、ヨーロッパの教育文化につながり、小さい頃からアートに触れる機会を持たされているのだという。幼い頃からルーブル美術館の見学など本物に触れる機会も多く、また、それらを通した美術学習を行う事で色の感覚やアートセンスを磨くということだけではなく、自由な発想や柔軟な考え方にも繋げ将来的な多角的な成長につながることが出来るとされている。

写真:市場の売り場などもどことなく色鮮やかなアート感覚を感じる。

 

あるデザイナーの回顧展に行った時だ最初のインスタレーションが絵画であった。特に驚いたのは、デザイナー自身が影響を受けた絵画の色や形パターンなどをベースに柄や色を構成し表現をして行くというアートがアートの感覚を呼び寄せ、また新しいアートやデザインが生まれて行く。また、そのデザイナーは、家の庭に自然の雄大な敷地を持ち庭に咲く花の色や木々たちからもインスピレーションを受けている。その時々に咲く花や夕暮れ時の色褪せた空の色などその瞬間にしか無い空間や色をどう感じてどう表現するか人間しか感じることのできない感覚なのでは無いかと思う。

左上:インスピレーションの源のアート

右上:それらをイメージして組まれたニットの柄の指示

下段:実際のニットの編み地

これからは、人が感じて手を動かして作ることが唯一無の物になるのではないか、曲がって書く文字や絵の雰囲気、にじむ色や絶妙に混じり合う色などそれらが重要な気がしてならない。より多くの人達がいろいろなアートや絵を見て美しいと思う心や時間の余裕など、日本の文化の中に根付いてくれたらとも思う。そしてアートな感覚が評価され、一部の人の楽しみではなくはなく、一般の人たちが楽しむものになり、次の成熟した日本文化に繋がる事を期待している。

私は、デザインやアートを感じ、人が幸せになる事を自分の活動を通してこれかも行いたいと思っている。

Fashion Designer MR:M

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